『ウルフ・オブ・ウォールストリート』レビュー──金融詐欺師の狂騒と転落
TL;DR
- 実在の証券詐欺師ジョーダン・ベルフォートの半生を描いた問題作
- マーティン・スコセッシ監督×レオナルド・ディカプリオの圧巻の演技
- 金融業界の闇と、モラルの崩壊を描くブラックコメディ
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー
原作:ジョーダン・ベルフォート回顧録
スコセッシの問題作
2013年公開の本作は、マーティン・スコセッシ監督とレオナルド・ディカプリオの5度目のタッグとなった作品です。上映時間3時間という長尺ながら、そのエネルギーとペースに圧倒される怪作となっています。
1990年代に証券詐欺で巨額の富を築いたジョーダン・ベルフォートの回顧録を原作としており、彼の放蕩と転落を描いています。
観た当時の感想
仮想通貨界隈でも、この映画を好む人は多いです。「成功への渇望」「ルールを破る反骨精神」──そういったメンタリティに共感するのかもしれません。しかし、この映画が本当に描いているのは、モラルなき成功の虚しさだと私は思います。
私がこの映画を観たのは、仮想通貨のICOブームの最中でした。詐欺まがいのプロジェクトが横行する中で、この映画は警告として機能しました。
ジョーダン・ベルフォートの物語
主人公のジョーダン・ベルフォートは、ニューヨーク郊外の中流家庭出身。ウォール街で証券マンとして働き始めますが、1987年のブラックマンデーで職を失います。
その後、ペニー株(低価格株)を高圧的なセールスで売りさばく手法で成功。自らの証券会社「ストラットン・オークモント」を設立し、20代で年収数千万ドルを稼ぐ富豪になります。
ポンプ&ダンプ
ベルフォートのビジネスモデルは、現代の仮想通貨市場でも問題となっている「ポンプ&ダンプ」です。無価値な株を大量に買い込み、営業トークで顧客に売りつけ、価格が上がったところで自分は売り抜ける。
この手法は仮想通貨のICO詐欺やシットコインの価格操作と本質的に同じです。
狂騒の描写
映画の大部分は、ベルフォートとその仲間たちの狂騒ぶりを描いています。ドラッグ、パーティー、高級車、豪邸、クルーザー──金で買えるあらゆる快楽が、スコセッシ特有のエネルギッシュな演出で描かれます。
この描写が「詐欺を美化している」という批判も多くありました。
美化か批判か
本作への最大の批判は、「詐欺師を英雄視している」というものです。確かに、映画はベルフォートの放蕩をエンタメとして描いており、被害者の視点はほとんど描かれません。
しかし、映画をよく見ると、スコセッシは観客自身を試しているようにも見えます。華やかな描写に興奮する観客──私たちもまた、共犯者なのではないか、と。
ディカプリオの演技
レオナルド・ディカプリオは、ベルフォート役で圧巻の演技を見せます。特に有名なのは、ドラッグでハイになった状態で這って車に向かうシーン。このシーンは、喜劇と悲劇の境界を行き来する本作の象徴です。
ディカプリオはこの役でアカデミー主演男優賞にノミネートされました(受賞は後の『レヴェナント』)。
仮想通貨への示唆
この映画から仮想通貨投資への示唆を得るとすれば、「ハイプに注意せよ」ということでしょう。高圧的なセールス、過剰な約束、「今買わないと損する」という煽り──ベルフォートの手法は、多くのICO詐欺に共通しています。
「信じられないほど良い話は、信じてはいけない」──この格言を忘れてはなりません。
規制の意味
映画の後半では、FBIとSECがベルフォートを追い詰めていきます。規制当局の存在が、詐欺師の活動を最終的に止めるのです。
仮想通貨の規制については賛否両論ありますが、投資家保護という観点では、ある程度の規制は必要なのかもしれません。
転落と復活
映画の結末で、ベルフォートは逮捕され、刑務所に入ります。しかし、わずか22ヶ月で出所し、現在はモチベーションスピーカーとして活動しています。彼の本や映画は莫大な収入をもたらしました。
「犯罪は割に合わない」と言いたいところですが、現実はそう単純ではないようです。
こんな方におすすめ
- ウォール街の闇を覗きたい方
- スコセッシ監督の映画が好きな方
- 金融詐欺の手口を知りたい方
- ブラックコメディが好きな方
3時間の長編ですが、一気に観られるエネルギーがあります。ただし、下品な描写も多いので、ご注意を。
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