『マネー・ショート 華麗なる大逆転』レビュー──2008年金融危機を予見した男たち
TL;DR
- 2008年リーマンショックを予見してCDS(空売り)に賭けた投資家たちの実話
- 難解な金融商品を分かりやすく(そして面白く)解説
- 「システムが壊れている」ことを見抜く力の重要性
監督:アダム・マッケイ
原作:マイケル・ルイス『世紀の空売り』
出演:クリスチャン・ベール、スティーブ・カレル、ライアン・ゴズリング、ブラッド・ピット
金融危機の内幕
2008年の金融危機──リーマンショック。世界経済を揺るがしたこの危機を、早い段階で予見し、巨額の利益を得た投資家たちがいました。本作は、その実話を描いたエンターテイメント映画です。
原作は、『マネーボール』でも知られるマイケル・ルイスのノンフィクション『世紀の空売り』。監督は、後に『バイス』でも政治と経済を鋭く描くアダム・マッケイです。
観た当時の感想
仮想通貨バブルの最中にこの映画を観ると、いろいろ考えさせられます。「みんながこれでいいと言っている」ときに、本当にそうなのかを疑う視点。2017年の仮想通貨市場にも、同じ問いが当てはまるのではないかと。
私がこの映画を観たのは、仮想通貨が急騰していた2017年でした。「バブル」という言葉が頭をよぎる中で観たこの映画は、強烈な印象を残しました。
CDSとは何か
映画の主要な題材は「CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)」という金融商品です。これは、ある債券がデフォルト(債務不履行)した場合に支払いを受けられる保険のようなものです。
主人公たちは、サブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)を裏付けとする証券がいずれ破綻すると予測し、CDSを購入しました。つまり、住宅市場の崩壊に賭けたのです。
第四の壁を破る解説
本作のユニークな演出として、難解な金融用語を解説するために、有名人がカメラに向かって直接説明するシーンがあります。シェフがサブプライムローンを魚の煮込み料理に例えたり、女優がバブルバスにつかりながらCDOを解説したり。
この「第四の壁を破る」手法により、複雑な内容がエンターテイメントとして楽しめるようになっています。
主人公たちの視点
映画は複数の視点で進行します。ヘッジファンドマネージャーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)、銀行員のジャレド・ベネット(ライアン・ゴズリング)、ファンドマネージャーのマーク・バウム(スティーブ・カレル)、若手投資家を支援するベン・リケット(ブラッド・ピット)。
それぞれが独自の方法で住宅バブルの危険性に気づき、CDS購入に動きます。
システムの欠陥
本作が描く真のテーマは、金融システムそのものの欠陥です。格付け機関は問題のある証券にAAAを付け、銀行は売れればいいと質の低い商品を販売し、規制当局は見て見ぬふりをする。
「みんなが間違っている」状況で、それを指摘することの難しさと、それでも指摘する勇気の重要性が描かれています。
勝者の苦悩
興味深いのは、「勝者」である主人公たちが、単純に喜んでいないことです。彼らの予想が当たるということは、世界経済が崩壊し、多くの人が家を失い、職を失うことを意味します。
映画の終盤、マーク・バウムが「俺たちはこれで儲けていいのか」と葛藤するシーンは、投資の倫理について考えさせられます。
仮想通貨への示唆
この映画から仮想通貨投資への示唆を得るとすれば、「コンセンサスを疑え」ということでしょう。みんなが「上がる」と言っているとき、本当にそうなのか。みんなが「安全だ」と言っているとき、本当にそうなのか。
2017年末の仮想通貨バブルを振り返ると、この映画の教訓は痛いほど身に染みます。
金融リテラシーの重要性
本作を観ると、金融リテラシーの重要性を痛感します。CDO、CDS、サブプライムローン──これらの仕組みを理解していれば、危機を予見できたかもしれません。
仮想通貨も同様です。技術を理解し、リスクを把握し、批判的に考える力──これらがないと、バブルに巻き込まれるリスクがあります。
エンタメとして
難しいテーマを扱いながら、映画としても非常に面白い作品です。テンポの良い編集、豪華キャストの演技、洒落た音楽──エンターテイメントとして十分に楽しめます。
金融に興味がない方でも、サスペンス映画として楽しめるでしょう。
こんな方におすすめ
- 2008年金融危機の内幕を知りたい方
- 金融商品の仕組みを楽しく学びたい方
- 投資における逆張りの思考法を学びたい方
- クリスチャン・ベールやブラッド・ピットのファン
投資に興味がある方なら、一度は観ておくべき映画です。
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