『ウォール街のランダムウォーカー』レビュー──市場効率性の古典
TL;DR
- 効率的市場仮説とインデックス投資を広めた投資の古典
- 「市場に勝つことはできない」という逆説的なメッセージ
- 長期投資の哲学を学ぶための必読書
著者:バートン・マルキール
投資の古典
1973年の初版以来、50年以上にわたって読み継がれている投資の古典です。著者のバートン・マルキールはプリンストン大学の経済学教授であり、本書は学術的な研究と実践的なアドバイスを融合させた稀有な一冊です。
タイトルの「ランダムウォーク」とは、株価の動きが予測不可能であるという理論を指します。過去の価格から将来の価格を予測することはできない──この考え方が本書の核心です。
読んだ当時の感想
テクニカル分析を学んだ後に、あえてこの本を読みました。「市場は予測できない」という主張は、テクニカル分析と矛盾するようにも見えますが、両方の視点を持つことが重要だと感じました。
私がこの本を読んだのは、ビットコイントレードで連敗を経験した後でした。テクニカル分析で「予測」しようとすることへの疑問が湧いていた時期に、本書は別の視点を提供してくれました。
効率的市場仮説
本書の理論的基盤は「効率的市場仮説」です。市場価格はすべての入手可能な情報を反映しているため、情報に基づいて「割安」な銘柄を見つけることはできない──そう主張しています。
プロのファンドマネージャーでさえ、長期的には市場平均を上回ることができない。本書は、この衝撃的な事実をデータで示しています。
バブルの歴史
本書は投資理論だけでなく、金融バブルの歴史も詳しく解説しています。17世紀のチューリップ・バブル、20世紀の株式バブル、2000年のドットコム・バブル──これらの事例が詳細に分析されています。
2017年の仮想通貨バブルを経験した読者にとって、これらの歴史は既視感を覚えるものでしょう。「今回は違う」という思い込みが、いかに危険であるかを教えてくれます。
インデックス投資の推奨
市場に勝つことができないなら、何をすべきか。本書の答えは「インデックス投資」です。市場全体に分散投資し、低コストで長期保有する──このシンプルな戦略が、ほとんどの投資家にとって最適だと主張しています。
この考え方は、ジョン・ボーグルによるバンガード・インデックスファンドの創設に影響を与え、現在のパッシブ投資ブームの原点となっています。
仮想通貨への適用
効率的市場仮説は仮想通貨市場にも当てはまるのでしょうか。学術的には議論が続いていますが、仮想通貨市場は従来の金融市場に比べて非効率な面があるとも言われています。
情報の非対称性、市場操作の可能性、参加者の多様性──これらの要因により、仮想通貨市場には「アルファ」(市場平均を上回るリターン)を獲得する余地があるかもしれません。しかし、その反面リスクも高いのです。
長期投資の哲学
本書から学ぶべき最も重要なメッセージは、長期投資の重要性です。短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期間保有し続ける。コストを最小限に抑え、複利の力を活かす。
ビットコインの「HODL」(長期保有)文化は、図らずも本書の教えと一致しています。
批判と限界
効率的市場仮説には多くの批判もあります。行動経済学の研究は、市場参加者が必ずしも合理的でないことを示しています。バフェットのような「市場に勝ち続ける投資家」の存在も、仮説への反証とされます。
本書を読む際は、これらの批判も念頭に置くべきでしょう。一つの理論を盲信するのではなく、複数の視点を持つことが重要です。
オーストリア経済学との対比
興味深いことに、効率的市場仮説とオーストリア経済学には相反する面があります。オーストリア経済学は、市場が「均衡に向かう過程」を重視し、企業家による価格差の発見と活用を説きます。
一方、効率的市場仮説は、市場がすでに効率的であることを前提とします。両者の視点を理解することで、より深い市場理解が得られるでしょう。
こんな方におすすめ
- 投資の古典を読んでおきたい方
- インデックス投資の理論的背景を理解したい方
- バブルの歴史を学びたい方
- 長期投資の哲学を身につけたい方
賛同するかどうかは別として、投資家なら一度は読んでおくべき本です。
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