『お金2.0』レビュー──新しい経済のルールと生き方

『お金2.0』レビュー──新しい経済のルールと生き方

TL;DR

  • メタップス創業者が描く「お金」の概念のパラダイムシフト
  • 経済の仕組みが根本から変わる時代への洞察
  • 仮想通貨を超えた「価値経済」の未来像

著者:佐藤航陽

メタップス創業者の経済論

著者の佐藤航陽氏は、決済プラットフォーム企業メタップスの創業者です。テクノロジーとお金の接点で事業を行ってきた経験から、「お金」の概念がどのように変化しつつあるかを論じたのが本書です。

2017年末に出版された本書は、ベストセラーとなりました。仮想通貨バブルの真っ只中で、多くの人が「お金とは何か」を問い直していた時期です。

読んだ当時の感想

仮想通貨の技術書ではありませんが、「なぜ仮想通貨が重要なのか」を考える上で示唆に富む本です。経済システムの変化を俯瞰的に理解できます。

私がこの本を読んだのは、ビットコイン投資を始めて数ヶ月が経った頃でした。価格の上下に一喜一憂する中で、より大きな視点──「そもそも何が起きているのか」──を求めていました。本書はその問いに答えてくれました。

お金1.0からお金2.0へ

本書の核心は、「お金」の概念が根本的に変化しつつあるという主張です。従来のお金(お金1.0)は国家が発行し、銀行が管理するものでした。しかし、テクノロジーの発展により、新しい形のお金(お金2.0)が登場しつつあります。

ビットコインはその代表例ですが、本書はさらに広い視野から「価値」そのものの変化を論じています。

「価値」の多様化

佐藤氏は、「価値」が多様化していると指摘します。従来は「お金」だけが価値の尺度でしたが、現代では「フォロワー数」「いいね」「信用スコア」など、様々な形の価値が存在します。

この多様な価値をトークン化し、交換可能にする──それがブロックチェーン技術の可能性です。本書は仮想通貨を、この大きな流れの一部として位置づけています。

資本主義の限界と次の経済

本書の後半では、資本主義の限界と「次の経済システム」について論じられています。格差の拡大、環境問題、成長の限界──これらの問題に対して、新しい経済の仕組みが求められています。

佐藤氏は、「評価経済」「信用経済」といった概念を提示し、お金以外の価値が中心となる経済システムの可能性を描いています。

テクノロジーと経済の融合

本書の特徴は、テクノロジーと経済を融合的に論じている点です。AI、ブロックチェーン、IoT──これらの技術が経済システムをどう変えるかが、具体例とともに解説されています。

著者自身がテック企業の経営者であり、その知見が反映されています。単なる理論ではなく、ビジネスの現場からの洞察が含まれています。

生き方の変化

経済の変化は、私たちの生き方も変えます。本書は、新しい経済における「働き方」「稼ぎ方」「生き方」についても論じています。

会社に縛られない働き方、自分の価値を直接マネタイズする方法、好きなことで生きていく可能性──そうした生き方の変化が示唆されています。

オーストリア経済学との接点

佐藤氏は直接言及していませんが、本書にはオーストリア経済学との接点が見られます。中央集権的な貨幣発行への批判、市場における自発的な秩序の重視──これらの思想は、ハイエクの「貨幣発行自由化論」とも通じるものがあります。

多様な通貨が競争することで最適な貨幣が選択される──そのビジョンが、トークン経済という形で実現しつつあるのかもしれません。

批判的な視点

本書は楽観的なトーンで書かれていますが、批判的に読むことも重要です。技術が必ずしも社会を良くするとは限りません。新しい経済が格差を拡大する可能性、プライバシーの問題、テクノロジーへの過度な依存──これらの懸念も考慮すべきでしょう。

本書を出発点として、さらに多角的な視点を得ることをお勧めします。

こんな方におすすめ

  • 「お金」の概念について考えたい方
  • 経済システムの変化を理解したい方
  • 仮想通貨を大きな文脈で捉えたい方
  • テクノロジーと経済の融合に興味がある方

仮想通貨の技術書としてではなく、時代の変化を読み解くための一冊として読むことをお勧めします。

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