『21世紀の資本』レビュー──資本主義の未来を問う大著
TL;DR
- 200年以上の歴史データから資本主義の動態を分析した大著
- 「r > g」──資本収益率は経済成長率を上回るという発見
- 格差拡大の構造と対策を論じる現代経済学の必読書
著者:トマ・ピケティ
経済学のベストセラー
2013年にフランスで出版され、2014年の英訳が世界的ベストセラーとなった本書は、700ページを超える経済学書としては異例のヒット作です。著者のトマ・ピケティはパリ経済学校の教授であり、不平等の経済学の世界的権威です。
本書の画期的な点は、200年以上にわたる20カ国以上のデータを収集・分析し、資本主義の長期的な動態を実証的に明らかにしたことです。
読んだ当時の感想
仮想通貨に投資する理由の一つが、この本で述べられている「r > g」を実感したからです。資本を持つ者はさらに富み、労働だけでは追いつけない。だからこそ、投資という行動が必要だと考えました。
私がこの本を読んだのは、仮想通貨投資を始めた理由を言語化しようとした時期でした。漠然と感じていた「労働だけでは限界がある」という直感に、学術的な裏付けを与えてくれた一冊です。
r > g の衝撃
本書の核心は「r > g」という不等式です。r(資本収益率)はg(経済成長率)を上回る傾向がある。これは、資本を持つ者の富は経済成長よりも速く増加することを意味します。
つまり、労働所得に依存する人々は、資本所得を得る人々に対して相対的に貧しくなっていく。これが格差拡大の構造的原因だとピケティは主張します。
歴史的データの力
本書の説得力は、膨大な歴史データに基づいている点にあります。税務記録、相続記録、国民経済計算──これらのデータを丹念に収集・分析し、200年以上の長期トレンドを明らかにしています。
特に20世紀の二度の世界大戦と大恐慌が、例外的に格差を縮小させたという発見は重要です。戦争による資本の破壊と、戦後の累進課税の導入が、一時的に「r > g」の力学を逆転させたのです。
格差の帰結
ピケティは、放置すれば格差は19世紀の水準に戻ると警告します。「世襲資本主義」の復活──富は能力ではなく相続によって決まる社会への逆行です。
これは民主主義への脅威でもあります。富の過度な集中は政治的影響力の集中を招き、民主的なプロセスを歪めるリスクがあるからです。
仮想通貨と r > g
本書の議論は、仮想通貨投資を考える上でも示唆に富んでいます。仮想通貨への投資は、まさに「資本収益」を得る行為です。労働所得だけに依存するのではなく、資本を働かせることで「r > g」の力学を自分の側につける試みと言えます。
もちろん、仮想通貨投資にはリスクが伴います。しかし、「r > g」という構造を理解すれば、なぜ投資が重要なのかが見えてきます。
政策提言への批判
ピケティは格差是正のために「グローバル資本税」を提唱しています。しかし、この提言には多くの批判があります。実行可能性の問題、経済成長への影響、租税回避のリスク──これらの課題は解決されていません。
オーストリア経済学の観点からは、政府介入による再分配よりも、競争的市場の維持こそが重要だという反論もあるでしょう。
データへの批判
本書のデータ分析には、一部から方法論的な批判も出ています。特にイギリスのデータの扱いについては、『ファイナンシャル・タイムズ』紙が問題を指摘しました。
ただし、これらの批判があっても、本書の基本的なメッセージ──資本主義は格差拡大の傾向を内包している──は広く受け入れられています。
読み方のコツ
700ページを超える大著は、正直なところ読み通すのが大変です。しかし、すべてを精読する必要はありません。第1部と第2部で基本的な議論を押さえ、関心のある章を深読みする──そのようなアプローチがおすすめです。
邦訳版には解説や要約も付いているので、まずはそこから入るのも一つの方法です。
こんな方におすすめ
- 格差問題の本質を理解したい方
- 資本主義の長期的動態に興味がある方
- 投資する理由を理論的に理解したい方
- 現代経済学の重要な議論を知りたい方
賛否両論ありますが、21世紀の経済を考える上で避けて通れない一冊です。
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