『ブロックチェーンの教科書』レビュー──体系的に学ぶ分散台帳技術
TL;DR
- ビジネスパーソン向けにブロックチェーンを体系的に解説
- 技術的な詳細と実務への応用をバランスよくカバー
- 企業でのブロックチェーン活用を検討する際の基礎知識に最適
著者:—
「教科書」の名に恥じない体系性
ブロックチェーンについて書かれた本は数多くありますが、体系的に学べる「教科書」と呼べるものは意外と少ないです。本書は、ブロックチェーンの基礎概念から応用分野まで、段階的に学習できるように構成されています。
各章は前章の知識を前提として構築されており、読み進めるうちに理解が深まっていく設計になっています。まさに「教科書」の名にふさわしい構成です。
読んだ当時の感想
ブロックチェーンを体系的に学びたい人におすすめです。特に企業でブロックチェーンプロジェクトに関わる可能性がある方は、基礎知識として読んでおくと良いでしょう。
私がこの本を読んだのは、仕事でブロックチェーンについて説明する機会が増えてきた頃でした。投資家としての知識はありましたが、ビジネスの文脈でブロックチェーンを語るための体系的な知識が必要でした。本書はその需要に応えてくれました。
ブロックチェーンの基礎概念
本書はまず、ブロックチェーンとは何かを定義するところから始まります。分散台帳、コンセンサスメカニズム、暗号技術──これらの基礎概念が、専門用語を丁寧に解説しながら説明されます。
特に優れているのは、「なぜブロックチェーンが革命的なのか」を説明する部分です。信頼の問題、中央集権vs分散、改ざん耐性──ブロックチェーンが解決しようとしている問題が明確に示されています。
コンセンサスアルゴリズムの比較
本書の充実した章の一つが、コンセンサスアルゴリズムの解説です。Proof of Work、Proof of Stake、PBFT、Delegated Proof of Stake──様々なコンセンサスメカニズムの仕組み、長所、短所が比較されています。
ビットコインが採用するPoWのエネルギー消費問題、イーサリアムのPoS移行、プライベートチェーンでよく使われるPBFT──これらの違いを理解することで、プロジェクトに適したブロックチェーンの選択ができるようになります。
パブリックチェーンとプライベートチェーン
ブロックチェーンには、ビットコインのような「パブリックチェーン」と、企業間で使われる「プライベートチェーン」があります。本書は、この違いを明確に説明しています。
パブリックチェーンは誰でも参加でき、完全な分散化を実現しますが、スケーラビリティに課題があります。プライベートチェーンは参加者が限定されますが、高速な処理と企業の要件に適した設計が可能です。用途に応じた使い分けの指針が示されています。
スマートコントラクトの実装
本書はスマートコントラクトについても詳しく解説しています。イーサリアムのSolidity、Hyperledgerのチェーンコード──スマートコントラクトの概念から実装方法まで、技術的な詳細が説明されています。
サプライチェーン管理、不動産取引、金融契約──スマートコントラクトの具体的なユースケースも豊富に紹介されており、ビジネスへの応用イメージを掴むことができます。
企業での活用事例
本書の後半では、実際の企業でのブロックチェーン活用事例が紹介されています。金融機関の国際送金、物流企業のトレーサビリティ、政府の本人確認──様々な分野での実証実験や本番稼働の事例が収録されています。
これらの事例を読むことで、「ブロックチェーンで何ができるのか」という問いに対する具体的な答えを得ることができます。自社でのブロックチェーン活用を検討する際の参考になるでしょう。
法規制とガバナンス
技術だけでなく、ブロックチェーンを取り巻く法規制についても触れられています。仮想通貨の法的位置づけ、ICO規制、プライバシー法との関係──ビジネスでブロックチェーンを活用する際に考慮すべき法的な観点が解説されています。
特に日本の改正資金決済法についての解説は、日本でビジネスを行う上で重要な知識です。
オーストリア経済学との接点
本書は主にビジネス・技術の観点から書かれていますが、ブロックチェーンの思想的背景──中央集権への批判、信頼のコストの削減、個人の主権──にも触れています。これらはオーストリア経済学の問題意識と重なる部分があります。
技術は価値中立ではありません。ブロックチェーンがなぜ生まれ、何を解決しようとしているのかを理解することで、技術の本質的な価値を把握できます。
こんな方におすすめ
- ブロックチェーンを体系的に学びたいビジネスパーソン
- 企業でブロックチェーンプロジェクトに関わる予定のある方
- 技術的な詳細とビジネス応用の両方を理解したい方
- 部下や経営陣にブロックチェーンを説明する必要がある方
「教科書」として繰り返し参照できる一冊です。ブロックチェーンの知識を体系化したい方は、ぜひ手に取ってみてください。
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