ビットコイン新時代 ― 国家と金融機関の接近が促す価値保存手段としての進化

ビットコイン新時代 ― 国家と金融機関の接近が促す価値保存手段としての進化

 ここ数年、暗号資産を巡る世界の潮流が大きく変化しています。特に注目すべきは、これまで暗号資産に否定的だった各国の政治家や金融機関が、その価値と可能性を認め始めたことです。米国の前大統領ドナルド・トランプ氏がかつて「ビットコインは詐欺のようだ」と発言していたことは記憶に新しいですが、最近の動向を見れば、その姿勢は大きく変わったようです。

 実際、トランプ氏は暗号資産産業に対して積極的な姿勢を見せており、暗号資産に関連する新たな法案を支持するなど、その変化は一過性のものではないことが窺えます。また、米政府が401k(確定拠出年金)の中で暗号資産への投資を認める大統領令に署名しようとしているというニュースも大きな注目を集めました。この発表を受けて、暗号資産市場は急騰し、ビットコイン価格は2025年8月現在で約17,263,579円という高値を記録しています。こうした国家や制度金融機関の動きは、ビットコインの「投資対象」から「現実的な価値保存手段」への進化を象徴しているといえるでしょう。

 このような潮流の背景には、「ビットコインは新しいゴールドである」という思想があります。オーストリア学派経済学の視点から言えば、ビットコインは金本位制のデジタル的な進化形です。『The Bitcoin Standard』では、サイフェディーン・アモウス氏が「ビットコインは希少性・検証可能性という意味で、金以上に優れた価値保存手段」と論じています。ミーゼスやハイエク、ロスバラードらも、政府や中央銀行による貨幣供給の恣意性に対して警鐘を鳴らし、“誰にもコントロールされないお金”の重要性を強調してきました。ビットコインはまさに、それを現代にもたらすツールなのです。

 さらに、ビットコインの本質的な強みは「自己管理できる価値」――すなわち、自分自身で秘密鍵を保管し、他者や国家権力の干渉を受けずに資産を守れる点にあります。これは伝統的な金融資産や、不安定な法定通貨とは一線を画す大きなメリットです。私自身、ビットコインを「投資」として売買することよりも、価値保存のために長期的に保有することを推奨しています。日々価格変動に一喜一憂するのではなく、“デジタル・ゴールド”としての側面にこそ注目すべきでしょう。

 もちろん、国家や金融機関が暗号資産へ参入することで利便性や安心感が高まる一方、ハッキングや詐欺といったリスクが存在するのも事実です。近年でも取引所を狙う大規模なハッキング事件が報告されています。しかし、これに対応すべく各取引所や業界は積極的にセキュリティ対策を強化し始めており、安全性の向上は確実に進んでいます。ユーザーとしても「第三者に預けっぱなし」ではなく、セルフカストディ(自己管理)を意識することで、より安心してビットコインを価値保存手段として活用できるでしょう。

 いまや、ビットコインは単なる投資商品ではなく、国家・金融機関も無視できない「新しい価値保存のインフラ」へと進化しつつあります。時代の変化を捉え、ご自身の資産防衛や将来設計の一助として“ビットコインの本質”を見極めることが何より重要です。

### 参考記事
Once a crypto skeptic, Trump is now a big fan of the industry | PBS
Bitcoin jumps as Trump is set to sign an order that allows … | CNBC
取引所が大規模な暗号資産ハッキングに備えるセキュリティ対策 | Chainalysis

*本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

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