米国では、かつて仮想通貨に懐疑的だったドナルド・トランプ元大統領が、今や一転して「仮想通貨業界の大ファン」となったことが大きな話題を呼んでいます。かつて「ビットコインは詐欺のようなもの」と公言していたトランプ氏が、政権復帰後の政策姿勢を大きく転換し、仮想通貨市場に積極的な態度を見せています（[参考記事1](https://www.pbs.org/newshour/politics/once-a-crypto-skeptic-trump-is-now-a-big-fan-of-the-industry)）。仮想通貨業界にとっては、この変化が今後の規制や普及にどう影響するかが大きな注目点と言えるでしょう。

　しかし、最新のニュースによれば、トランプ政権による関税見直しや雇用統計の悪化の影響もあり、ビットコインやイーサリアムなど主要な仮想通貨は値下がりを見せています（[参考記事2](https://www.cnbc.com/video/2025/08/01/bitcoin-ether-fall-as-president-trump-modifies-tariffs-and-jobs-data-disappoints-cnbc-crypto-world.html)）。とはいえ、過去の歴史を振り返っても、ビットコインは経済的不安や政策の変動時に相対的な強さを発揮してきました。現に、関税政策の影響でリスク回避ムードが広がる中でも、ビットコインは他の資産よりも粘り強さを見せているとの報道もあります（[参考記事3](https://www.cnbc.com/2025/08/01/crypto-market-today.html)）。

　ここで改めて注目したいのが、ビットコインの「価値保存手段」としての本質的な役割です。今現在、ビットコインの価格は約16,648,140円と高水準で推移していますが、重要なのは価格変動自体ではありません。むしろ、中央銀行や政府の政策が不透明な時代にあって、「自分自身で秘密鍵を管理し、誰にもコントロールされない資産を持てる」というビットコイン独自の価値こそが、本当の魅力だと思います。

　この点については、『The Bitcoin Standard』に代表されるオーストリア経済学派の思想が参考になります。ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスやフリードリヒ・ハイエク、マレー・ロスバードといった経済学者たちは、貨幣は「市民が自発的に選び、国家が独占してはならない」と説きました。ビットコインはまさに、その思想を体現した究極の“デジタル・ゴールド”です。過去の金本位制が国家によって裏切られた歴史を反省し、アップデートされた「グローバルかつ検閲耐性」の資産として、ビットコインは今、新たな価値観を切り拓いています。

　また、ビットコインの優位性は「投資商品」である以前に、国家や金融機関の枠組みを超えた「最適な価値保存手段」である点です。今後、国家や伝統的金融機関がビットコインの採用や保有を進めることで、その価値はいっそう強固なものとなるでしょう。実際、金融インフラへの組み込みが進む度に、希少性と信頼性は増していくはずです。

　結論として、ビットコインを短期的な値上がり・投資対象として捉えるだけでは、その本質的意義は見えてきません。不安定な金融・政治情勢の中でこそ、秘密鍵を自ら管理し、他者のコントロールを一切受けない“自由な通貨”としての価値を再認識すべきです。今こそ、安定した価値保存手段としてのビットコインという視点を持ち、その本質的な魅力を理解する好機ではないでしょうか。

### 参考記事
– Once a crypto skeptic, Trump is now a big fan of the industry | PBS
– Bitcoin, ether fall as President Trump modifies tariffs and jobs data … | CNBC
– Crypto wobbles into August as Trump’s new tariffs trigger risk-off … | CNBC

＊本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。