2025年現在、仮想通貨の象徴的存在であるビットコイン（BTC）は、その地位をさらに確かなものとしつつあります。ニュースでは、アメリカ政府が「戦略的ビットコイン備蓄（Strategic Bitcoin Reserve）」の設立に着手したことが報じられ、世界的な注目の的となっています。この動きは、ミーゼスやハイエクらに代表されるオーストリア派経済学の観点からも、ビットコインが本物の「価値保存手段」として認知され始めている証左だと言えるでしょう。

　そもそもビットコインは、中央管理者を持たない分散型ネットワークによって運営されており、その供給量はプログラムによって厳格に制限（2100万BTC）されています。金（ゴールド）本位制の時代、通貨はその希少性ゆえに人々の信認を集めましたが、ビットコインはデジタル時代における「アップデート版の金」として、供給の上限や分散性、国境や権力による介入の困難さを備えています。

　この点に関して、『The Bitcoin Standard』の著者サイフディーン・アモウスは「ビットコインこそが現代の健全なマネーになる潜在力を持っている」と述べています。ミーゼスやハイエクも、価値保存手段は強制通貨ではなく、市場を通じて自然に選択されるべきであると主張してきました。すなわち、ビットコインの持つ「自己管理可能な秘密鍵」や「他者にコントロールされない支配権」という特徴は、中央集権的なフィアット（法定通貨）に対する圧倒的な優位性となるのです。

　また、金融市場の変化もビットコインの地位上昇を後押ししています。ここ最近では、個人投資家だけでなく、機関投資家や国家レベルでの参入が加速しており、ビットコインETF（上場投資信託）の登場や公的機関のストックパイル（保有）が現実のものとなっています。日本円で現在約1,703万円という価格は、需要と供給のバランスだけでなく、社会的信頼の高まりの反映でもあります。

　こうした状況で私が強調したいのは、ビットコインを「投機」ではなく、あくまでも「安定した価値の保存手段」として活用することの重要性です。短期的な価格変動に一喜一憂するのではなく、その技術的・思想的背景を理解し、秘密鍵を自身で管理しながら、長期的な資産防衛・資産保全の観点からビットコインを保有することを推奨します。

　国家や巨大金融機関が続々と参入する今こそ、「お金の歴史の新しいフェーズ」に賢明な立場で参加する絶好のタイミングかもしれません。マレー・ロスバードが指摘したように、「貨幣の本質は信頼と希少性にある」という原則を、デジタル時代の我々が再発見しつつあると感じます。金を持つように、ビットコインを価値の保存手段として見直してみてはいかがでしょうか。

### 参考記事
What is Cryptocurrency & How Does It Work? (2025) | Charles Schwab
Establishment of the Strategic Bitcoin Reserve … – Federal Register
Bitcoin BTC (BTC-USD) Live Price, News, Chart & Price History …

＊本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。