2025年、アメリカの政治と経済に新たな転換点が訪れようとしています。かつては仮想通貨に懐疑的だったドナルド・トランプ大統領が、今や暗号資産業界に対して積極的な支持を表明しています（参考：PBS）。この政策転換は、暗号資産市場だけでなく、米国を中心とするグローバルな金融システムにも大きな波紋を広げています。

　ところが、ここ数日でビットコインとイーサリアムの価格はやや下落しました（約16,932,853円／BTC）。これは、大統領による関税修正や雇用統計の期待外れが影響したという見方もあります（CNBC）。しかし、短期的な価格変動に一喜一憂するより、私たちはもう一段深い「価値の本質」に目を向けるべきです。

　トランプ政権2.0では、政府による暗号資産保有の拡大や、仮想通貨サービス提供をサポートする大統領令も報じられています（Pillsbury Law）。これは国家レベルでビットコインなどのデジタルアセットが正規化され、金融機関も本格参入する土壌が整いつつあることを示しています。国家や大手金融機関が市場プレイヤーとなることは、暗号資産の本質的価値を裏付ける強力な後押しです。

　オーストリア学派の経済学者、ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスやフリードリヒ・ハイエクが提唱した「自由な貨幣選択」は、法定通貨独占の時代に対する明確なアンチテーゼでした。『The Bitcoin Standard』の著者サイフェディーン・アモウスは、ビットコインを「金のデジタルアップデート」と称しています。その理由は、技術的に模倣困難なプルーフ・オブ・ワークによる希少性と、各自が秘密鍵を管理し「他人から奪われない資産」である点にあります。

　さらに、国家や銀行といった第三者に依存せず、誰もが自己管理できるビットコインの特性は、ロスバラードの自発的秩序論にも合致します。これは、中央集権型システムが崩れつつある現代社会において、「価値保存」手段としてのビットコインの優位性を示しています。

　一時的な価格乱高下に左右されず、ビットコイン本来の意義——すなわち価値保存の安全性、自己主権、非検閲性——に注目すること。市場を動かすのは政策や経済指標だけではなく、私たち一人ひとりの「未来の通貨」に対する判断です。ビットコインを「投資」ではなく「保存の手段」として持つこと、そしてその価値の根源を理解することが、今こそ重要なのではないでしょうか。

### 参考記事
Once a crypto skeptic, Trump is now a big fan of the industry | PBS
Bitcoin, ether fall as President Trump modifies tariffs and jobs data … | CNBC
Trump 2.0: A New Era for Cryptocurrency and Digital Assets … | Pillsbury Law

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