トランプの“変心”が象徴するビットコイン新時代――2,000億円の購入が意味するもの

トランプの“変心”が象徴するビットコイン新時代――2,000億円の購入が意味するもの

 ここ数年、ビットコインや暗号資産に懐疑的な発言を続けていたドナルド・トランプ氏が、その姿勢を大きく転換し、いまや業界の“旗手”へと変貌を遂げていることは、仮想通貨界隈に驚きをもって受け止められています。2025年7月、彼の関連企業であるトランプ・メディアが約20億ドル、日本円にして約1,754億円(1BTC=17,544,899円換算)もの巨額ビットコイン購入を決断した事実は、業界の新たな歴史的節目となったといえるでしょう。

 今年に入り、トランプ氏は従来の「ビットコインは詐欺だ」という姿勢から一転し、積極的な法整備や業界との対話を推進する動きに出ています。この変化は、一人の政治家の“気まぐれ”というよりも、価値保存手段としてのビットコインの可能性に、国家や組織が本気で注目し始めた証左と見て良いでしょう。

 巨大企業がバランスシートにビットコインを組み入れる流れは、2020年以降マイクロストラテジー等によって加速しましたが、今回トランプ関連の大規模な導入は、政治と金融の両軸が暗号資産を公的な“準備資産”として認め始めたことを示しています。ビットコインの価格が高止まりを続けるなか、これほどまで巨額の資金が投入されるのは偶然ではありません。

 この背景には、オーストリア経済学の代表的思想である「健全な貨幣」「通貨発行の分散」が、現実の経済社会においても切実なテーマとなっている事情があります。サイフェディーン・アモウス著『The Bitcoin Standard』に記されているように、ビットコインは中央集権的なコントロール=“刷り放題”という法定通貨の弱点を解消しうる、デジタル時代の金(ゴールド)ともいえる存在です。ルートヴィヒ・フォン・ミーゼスやフリードリヒ・ハイエク、さらにロスバードらが説いた「自由市場による通貨選択の重要性」は、いままさに現代人が実体験する現実となっています。

 ビットコインの最たる特徴は、誰でも自ら秘密鍵を管理でき、国家や企業ですら個々人の資産に安易にアクセスできない点にあります。これは、かつて金(ゴールド)が持っていた究極のプライバシー性と価値保存力を、21世紀流にアップデートしたものです。こうしたビットコインの性格は、“投資商品”としての一時的な値上がり益を狙うものというよりも、長期的・安定的な価値保存手段(ストア・オブ・バリュー)としての利用を後押ししています。

 今後、トランプ氏をはじめとする国家・大企業の参入がビットコイン領域で相次げば、希少性に裏付けられた“デジタル金”としてのプレゼンスは、さらに高まっていくでしょう。私たち個人投資家にとっても、誰にもコントロールされない資産という選択肢の意義は、これまで以上に大きくなるはずです。いまこそ、“ビットコイン新時代”の入り口に立っているのです。

### 参考記事
Once a crypto skeptic, Trump is now a big fan of the industry | PBS
Trump Media Buys $2 Billion in Bitcoin for Crypto Treasury Plan | Bloomberg
Trump Media buys $2 billion in bitcoin as it pursues crypto treasury … | CBS News

*本記事の内容は情報提供を目的としており、特定の投資行動を推奨するものではありません。最終的な判断はご自身の責任で行ってください。

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